土と草の混じった夏の匂いは幼少期を思い出す。

考えてるゾウ

先週末、半年ぶりに実家に帰った。

新幹線と電車を乗り継いで着いたのは、田んぼと山、それからイオンくらいしかないような、日本のどこにでもある田舎町だ。

最寄り駅に着くと、親が車で迎えに来てくれた。(最寄り駅って言っても、家まで歩くと40分くらいかかる。)僕が知らない間に新しい車に変えていたらしい。車に乗ると新車特有のケミカルな匂いが鼻につく。

帰りは運転を僕に代わって、10分ほど車を運転して家に着いた。家の裏口のドアを開けると、懐かしい匂いがする。

家の匂いっていうのは、住んでいる時には気付けないけど、こうやってしばらく離れると鮮明に感じられるようになる。

僕の実家の匂いはというと、、土と草と、それから少しだけ柔軟剤を混ぜた匂いだ。いい匂いってわけじゃないけど、やっぱり落ち着く。

スーツケースの中身を整理した後、暇を持て余した僕は近所を散歩した。

家の近くを歩くのは楽しい。ありとあらゆるところに色んな思い出が詰まっているから。

この道は小学校の頃、好きな子と一緒に帰ったし、あの堤防はおじいちゃんと七夕のための笹を取りに行ったし。

近所をフラフラと歩いていると、そういう、何の責任もなくて、平和に生きていた幼い自分の過ごした日々に一瞬だけ戻ることができる気がする。

まあそうはいっても、全てが同じじゃなくて。

実家の車は変わっていたし、親戚のおじいちゃんも死んじゃったし、昔通っていた保育園も潰れた。こうやって時間が経つと、いろんなことが変わっていって、全てが僕の思い描く「平和な思い出」と一致するわけじゃなくなっていく。

何より僕自身が歳をとっているしね。

それでも、僕の中で、今もこの土地は「平和」の象徴だし、いつでも帰ることのできる安心できる場所だ。

いつでも帰れる場所があるからこそ、あえてそこを離れるという選択をしたからこそ、頑張らなきゃなって思ったりね。

まあ毎日そんなに頑張れてはないんだけどさ。

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